研究課題/領域番号 |
17659602
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
赤坂 司 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (00360917)
進藤 正信 北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20162802)
山本 悟 北海道大学, 大学院歯学研究科, 助手 (10344524)
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キーワード | カーボンナノチューブ / スキャホールド / 骨形成 / 骨髄細胞 / デキサメサゾン / マイクロアレイ / 遺伝子発現 / 骨芽細胞 |
研究概要 |
本年度においては、多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)を吸着することにより作製したスキャホールド上で骨髄細胞をデキサメサゾン(Dex)で骨芽細胞に誘導し、遺伝子発現に及ぼすMWCNTsの影響を検索するとともに、Dex添加と非添加の条件で骨髄細胞を培養したスキャホールドを、細胞を付着させた状態でラットの皮下組織に埋入した。 ラット骨髄細胞のDex誘導後1、3および7日の遺伝子の発現を、MWCNTsを吸着したスキャホールドで培養した場合とポリスチレンディッシュ上で培養した場合について、マイクロアレイを用いて比較検討した。全期間を通してMWCNTs固着スキャホールドで、インターロイキンなどの炎症に関与する遺伝子の発現が強く認められ、1、3日では、Matrix Gra ProteinやInsulin like Growth Factorなどの骨に関連する遺伝子の発現が、また7日ではインテグリンなどの接着に関与する遺伝子の発現が強く認められた。この結果から、MWCNTsは起炎性を有するが、骨髄細胞をより速く骨芽細胞に分化・誘導する可能性が示唆された。骨髄細胞をMWCNTs上でDexを添加して2週間培養した後、ラット皮下組織に6週間埋入すると、骨組織様の構造が認められたが、Dexを添加せずに培養した場合は観察されなかった。これらのことから、Dexを添加しMWCNTs上で骨髄細胞を培養すると骨芽細胞に分化し、皮下組織内で骨組織を形成する可能性が示唆された。 以上の結果から、MWCNTsをスキャホールドに用いると、骨髄細胞を強固にスキャホールドに付着した状態で骨芽細胞への分化を促進し、さらにこのスキャホールドは軟組織内で骨組織を形成する可能性が示された。
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