研究概要 |
歯科補綴治療の大きな目的に審美性の回復や生活の質の向上がある。補綴治療の成否を判断する項目として、装着した冠や義歯に対する患者の満足度は重要なファクターである。しかし、満足度はきわめて主観的であり、客観的スケールによって評価することは困難である。 本研究の目的は、前歯部の審美的補綴物や総義歯を装着したときの患者の満足度を、ヒトの快・不快の感情との関連を調べ,脳の活動状態から快・不快あるいは満足度を定量的に表示する方法について検討を行うものである。 本年度は研究の端緒であり、以下の項目で研究を遂行した。 1.脳機能計測法 脳活動の計測法には多くの方法がある。共同申請者である加藤らの発案した近赤外分光機能画像法(NIRS-imaging)は脳皮質の血流量、酸素量を4次元的(空間位置および時系列)に非侵襲的に計測し、脳機能を定量的に計測する方法である。しかも測定はベッドサイドにおいて、被測定者の自由度が大きい状態で行われ、高い再現性をもつ。 現在日本で本方法を用いた計測器は2種(島津、日立メディコ)あり、それぞれの特徴と、対照についての検討を行った。 2.バックグラウンド 快・不快を脳機能計測によって定量的に計測するためには、安静時におけるバックグラウンドの計測が重要である。この点については未だ方法は確立しておらず、来年継続検討する予定である。
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