研究課題
歯科領域で使用されているジブチルフタル酸エステル(DBP)の唾液への移行量、溶出されたそれら化合物の加水分解体の同定分析方法及び推定溶出量からこれら化合物による推定1日曝露量を明らかにし、更にそれら化合物の薬物代謝酵素誘導能を評価するために薬物代謝酵素の一つであるCYP1A1遺伝子を導入した培養肝臓由来細胞を用いて、芳香族炭化水素の一つであるメチルコラントレン存在下での唾液に溶出した化合物並びにその加水分解体の薬物代謝酵素誘導能について検討した。DBPの唾液への移行量は初期に高く、その後は微量だが継続的であった。その溶出量からDBPの推定1日摂取量は食品のそれに比べて高かったが、耐容1日摂取量以下であった。しかしながら、溶出量から算定すると体重が少ない場合には耐容1日摂取量に近くなる場合もあった。ヒト肝臓ガン由来のHepG2細胞を用いてビスフェノールA(BPA)誘導体とフタル酸エステル類によるCYP1A1誘導能に関してPCRを中心にしてルシフェラーゼアッセイを行って調べたところ、BPAはAryl hydrocarbon Receptor(AhR)の誘導を増強するというよりも細胞内のAhRの再利用を可能にすると考えられた。一方、Di(2-ethylhexyl)phthalate(DEHP)はAhRのアゴニストではなくさらにPeroxisome proliferator-activated receptors(PPARα)のアゴニストでもないことが示され、他の報告とは異なる結果が得られた。この研究過程でPPARαアゴニストであるWY-14643の結果から、CYP1A1の誘導にはCa^<2+>の存在が必須であると考えられた。このようにCYP1A1誘導能を調べることは生体異物の毒性代謝を予測することに繋がると考え、生体材料の毒性を調べる一つの方法論的な可能性があると考えられる。
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歯材器 25・2
ページ: 131
Abstract of the 84th IADR General Session & Exhibition (June28-July 1, 2006)
Abstract of the 84th IADR General Session & Exhibition (June28-July 1,2006)
歯材器 25・5
ページ: 356