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2006 年度 実績報告書

口腔がんの発症・進展におよぼす糖転移酵素GnT-Vの影響

研究課題

研究課題/領域番号 17659623
研究機関北海道大学

研究代表者

戸塚 靖則  北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00109456)

研究分担者 進藤 正信  北海道大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20162802)
小林 正伸  北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教授 (80241321)
東野 史裕  北海道大学, 大学院歯学研究科, 講師 (50301891)
キーワード口腔扁平上皮がん / 糖転移酵素 / GnT-V / ets
研究概要

タンパクの果たす役割についての研究は多いが、糖鎖の意義についてはこれまで研究が進んでいなかった。今回、アスパラギン結合型糖鎖にβ1-6結合の分岐鎖を合成する酵素であるヒトGnT-V(N-アセチルグルコサミン転移酵素)が、口腔扁平上皮細胞のがん化における関与と、口腔がんにおける生物学的悪性度とどのように関わっているかを明らかにすることを目的に検索を行った。
北海道大学歯科診療センターを受診し、臨床病理学的に舌扁平上皮がん(一次がん)と診断された40症例、前癌病変4症例および正常舌粘膜7例を対象とし、採取した生検組織を用いてGnT-Vタンパクの発現を免疫組織学的に検索した。また、上記症例のうち新鮮凍結材料の得られた23症例に対し、GnT-V mRNAの発現をreal-time RT-PCR法で検索した。
免疫組織学的にGnT-Vタンパクは前癌病変においては発現が認められなかったが、扁平上皮がんにおいては40例中26例(65%)に発現が認められた。定量RT-PCRによるGnT-V mRNAの発現は、正常組織と同様に前癌病変ではほとんど発現していないのに対し、扁平上皮がんでは有意に発現亢進を認めた。GnT-Vの転写調節領域にはets結合配列が存在する。ets-1とets-2発現を定量PCRで検索したところGnT-Vの発現と有意の相関が認められた。扁平上皮がんにおけるGnT-Vの発現はT分類、頸部リンパ節転移、浸潤様式、組織学的悪性度との間で相関が認められた。さらに、Stage0〜IIの早期症例において、GnT-V陽性症例では、陰性症例に比べて頸部リンパ節後発転移をきたした症例が有意に多く認められた。以上のことから、舌扁平上皮がんにおいて、GnT-Vは腫瘍進展とともに亢進し、浸潤・転移といった腫瘍の悪性形質に深く関与することが示唆され、早期における悪性度の有用な評価因子の一つと成り得る可能性が示唆された。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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