研究課題/領域番号 |
17659627
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 士朗 東北大学, 病院, 講師 (80230069)
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研究分担者 |
小玉 哲也 東北大学, 先進医工学機構, 助教授 (40271986)
鈴木 麻衣子 東北大学, 先進医工学機構, 助手 (70420049)
小野 栄夫 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20302218)
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キーワード | 口腔癌 / マイクロバブル / 超音波 / 病巣集積 / 動物モデル / 画像診断 / 分子導入 / 遺伝子治療 |
研究概要 |
マイクロバブルは、気泡が超音波照射により破壊される時に生じる衝撃波や液体ジェット等の衝撃圧を利用して、非侵襲的で、免疫原性や細胞毒性もなく、標的組織に遺伝子などの高分子を導入する手段として注目されている。 本研究は、マイクロバブルを口腔癌の治療に応用するための病巣集積型マイクロバブルを開発し、治療への応用を検討することを目的とする。 口腔癌の治療で大きな問題となるのは、抗癌剤や放射線治療による重篤な口内炎や皮膚炎の発症である。しかし、血小板が病巣に集積する程の炎症をさらに増悪させない方策があれば、患者の苦痛はかなり緩和され得る。血小板は、血栓形成のみならず炎症においても重要な役割を演じ、血小板機能は、細胞膜上の接着分子などの働きにより、炎症巣に集まることで発揮される。従って、マイクロバブルに血小板膜の性質を組み込むことができれば、炎症巣への標的性を与えることができる。さらに、血小板膜の特性を有するマイクロバブルに、抗炎症作用と腫瘍血管新生阻害や抗腫瘍活性を有する薬剤を封入できれば、抗癌剤や放射線治療による重篤な口内炎や皮膚炎の発症を血小板が集積する段階で抑制し、且つ腫瘍の増殖抑制も期待できる。 平成17年度においては、血小板膜をマイクロバブル被膜に取り込んだ血小板キメラバブルの作成技術を検討した。まず、ヒト血液から血小板を抽出し、キメラバブルを作成した。このマイクロバブルは、抗血小板抗体による免疫染色やウエスタンブロットで血小板キメラバブルであることが確認できた。さらに、キメラバブルに治療薬剤を吸着させることを想定し、蛍光タンパクであるGFPを吸着させた血小板キメラバブルを作成した。しかし、このGFPを吸着させた血小板キメラバブルの生物学的活性を検討したところ、血小板の生物学的活性は失われていた。 今後、生物学的活性を維持した血小板キメラバブルの作成法の検討が必要である。
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