研究概要 |
Phosphodiesterase(PDE)は細胞内のcAMPやcGMPを分解する酵素で,その濃度を調節する非常に重要な役割を担っている.現在,11種類(PDE1からPDE11)のファミリーに分類され,各ファミリーはアミノ酸配列相同性を示すサブファミリーがある場合がある.そこで、各PDEのサブファミリーの発現やPDE遺伝子異常を癌細胞で世界に先駆けて明らかにし,最近のナノテクノロジーやモレキュラバイオロジーの進歩と共に急速に発達してきたがん診断用DNAチップ等にPDEを加え,将来個人に最適なオーダーメイド治療への道を開くことを目的として本年度の研究を行った. 口腔由来悪性黒色腫細胞株(HMG,PMP,MAAとMMN9),皮膚由来悪性黒色腫細胞株(G361とC32),子宮由来悪性黒色腫細胞株(HMV-II)や口腔由来骨肉腫細胞株(HOSM-1とHOSM-2)等よりトータルRNAを抽出,逆転写酵素にてcDNA合成後,各PDEに対する特異的なプライマーを作成し,PCRにて各PDEの発現を検討した.HMG細胞は(PDE1からPDE8,PDE10とPDE11),PMP,MAAおよびMMN9細胞は(PDE1,PDE2,PDE4からPDE11),G361とC32細胞は(PDE1からPDE11),HMV-II細胞は(PDE1,PDE2,PDE4からPDE9,PDE10,PDE11)の発現が確認できた.また,HOSM-1とHOSM-2細胞ではPDE3は発現していなかった.更に,PDEのスプライシンングバリエントを検討したところ,これまでに正常細胞で報告されているパターンと同様であった. 平成18年度では,PDEに対する遺伝子異常(ポイントミューテイション等)について検討を行う予定である.
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