研究概要 |
神経損傷に際して脊髄障害周辺部で神経細胞のapoptosisが生じるか否か、さらにc-fos遺伝子発現があるかを検討する。さらに、遺伝子発現とapoptosisが、神経栄養因子、ラジカルやサイトカインとどのような相互関係にあるか,それぞれの阻害薬投与による修飾作用から検討している。 1.動物および脊髄障害モデル:雄Sprauge-Dawleyラット(300-350g)をハロタン(2〜3%)/酸素をマスクで吸入させ、1脊髄虚血では,2F-Fogarty balloon catheterを大動脈に留置し,合わせて脱血性低血圧を施す(6分間:非致死的,12分間:致死的).また、大槽よりITにループ型マイクロダイアリシスプローベを挿入し、先端が腰髄1-2レベルに位置するよう留置する。手術後3日目に再度ハロタン(2〜3%)/酸素吸入下で実験を行う。2)外傷性脊髄障害では,2F-Fogarty balloon catheterを硬膜外腔(第11〜12胸椎レベル)に挿入したのち、0.1mlの生理食塩水でバルーンを膨らませ1分間脊髄に圧迫損傷を加える。その後圧迫を解除しバルーンを抜去し、4、12、24時間、7日、1カ月まで観察している。 2.脊髄障害後のglutamate放出:ハロタン(1%)/酸素吸入下で,実験1),2)共にダイアリシスプローベに人工脳脊髄液を潅流し、障害負荷および解除後4時間まで採取する。ラットを任意に以下の群に分ける。薬物投与は脊髄障害10分前より開始し、解除後4時間まで持続注入する。(1)偽手術群:手術のみ、(2)非治療群:生理食塩水を持続静注し、1分間の脊髄圧迫を行った後解除し、4時間まで透析液の採取、3)薬物治療群:脊髄障害負荷前より実験終了まで、持続投与する。透析液は分析まで-80℃下で保存し、透析液中のglutamate濃度はOPA誘導体化して、HPLC-ECD法で定量的に測定している。 3.分子生物学的(病理学的)検討:脊髄障害後2、12、24、48時間、7日目に脊髄を摘出、凍結し、クライオスタットにて厚さ10μmの凍結切片を作成する。これらの組織切片に対してc-fos遺伝子発現をin situ hybridization法にて検討する。また、異なる組織切片でDNA断片化に対するTUNEL染色とFas、Fas-ligandに対する免疫染色を検討する。次に、apoptosisがラジカル、サイトカインとどのような相互関係を有するかを検討するために、カタラーゼ,SOD(ラジカル捕捉剤)、interleukin-1 receptor阻害薬、TNF-α阻害薬を経静脈的に投与して遺伝子発現と細胞死を観察する.研究分担者が作成したTNF-a欠損マウスを用い,脊髄虚血を行い,その関与をさらに確認している
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