研究概要 |
神経損傷に際して脊髄障害周辺部で神経細胞のapoptosisが生じるか否か、さらに脊髄障害後のglutamate放出の変化を検討した。 1.動物および脊髄障害モデル:雄Sprauge-Dawleyラット(300-350g)を麻酔し、1)脊髄虚血では,2F-Fogarty balloon catheterを大動脈に留置し,合わせて脱血性低血圧を施す(6分間:非致死的,12分間:致死的).また、大槽よりITにループ型マイクロダイアリシスプローベを挿入し、先端が腰髄1-2レベルに位置するよう留置する。手術後3日目に再度麻酔を行い、実験を行う.2)外傷性脊髄障害では,2F-Fogarty balloon catheterを硬膜外腔(第11-12胸椎レベル)に挿入したのち、0.1mlの生理食塩水でバルーンを膨らませ1分間脊髄に圧迫損傷を加え、4、12、24時間、7日、1カ月まで観察した。 2.脊髄障害後のglutamate放出:ハロタン(1%)/酸素吸入下で,実験1),2)共にダイアリシスプローベに人工脳脊髄液を潅流し、障害負荷および解除後4時間まで採取した。ラットを任意に以下の群に分け、薬物投与は脊髄障害10分前より開始し、解除後4時間まで持続注入した。(1)偽手術群:手術のみ、(2)非治療群:生理食塩水を持続静注し、1分間の脊髄圧迫を行った後解除し、4時間まで透析液の採取、3)薬物治療群:脊髄障害負荷前より実験:終了まで、持続投与した。透析液は分析まで-80℃下で保存し、透析液中のglutamate濃度はOPA誘導体化して、HPLC-ECD法で定量的に測定した。 以上の実験より、脊髄障害後のglutamate放出は非治療群では虚血開始20分後より再還流10分後まで基準値に対し、有意に増加したのち、減少したが、120分で再度増加した。一方、治療群では優位な変化は示さなかった。
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