研究課題/領域番号 |
17659642
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
新谷 益朗 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (60171071)
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研究分担者 |
加藤 元一郎 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (80161123)
渋川 義幸 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (30276969)
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キーワード | 脳磁図 / 疼痛 / 炭酸ガスレーザー / レーザー誘発脳磁場 / 歯痛 |
研究概要 |
炭酸ガスレーザー装置を用いた皮膚に対する痛覚刺激と、強い葛藤心理状態を励起する視覚呈示課題を施行した場合の大脳皮質応答磁場の変化を、全頭型脳磁界計測装置(MEG)を用いて計測し、痛覚刺激と心理課題をタイミングを同期させて同時に施行した場合と、単独施行した場合の応答の変化について検討した。 鋭い痛みを伴う侵害受容成分はfirst painとしてA-delta線維によって伝達され、鈍重な痛みはsecond painとしてC線維によって伝達されるが、C線維による興奮はattentionやdistructionの影響を受けやすい。初期の実験では600〜800msに明瞭な応答のピークを認めたが、この潜時域はA-delta線維による刺激伝達で起こる皮質応答の後期成分と、C線維による刺激伝達で起こる応答の早期成分がオーバーラップしている可能性が高い。そこでわれわれはレーザー光軸の直径を微小化し、低出力で皮膚の限局した範囲をゆっくりと定速で移動しながら照射することで、選択的にC線維を刺激する確率を高める手法を開発した。その結果、700ms、1000ms,1300msという長い潜時を持ったC線維による応答群を検出し、中後期成分は帯状回と島・内側側頭葉に電流源を同定し、この潜時域成分は葛藤心理課題の影響を受けやすいことを確認した。 今後はさらにC線維に対する選択的刺激の精度を向上させるとともに、葛藤心理課題との同期タイミングの最適化を図ってその影響を精査し、また1000msを超える長潜時成分の再現性や、脳磁図では捉えにくい部位にある帯状回皮質における応答の変化を検討していく予定である。
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