研究課題
歯周病の治療にGTR法やエムドゲインゲルが繁用されていることからも明らかなように、個々の細胞の増殖を制御することは歯周組織の再生に重要な意味を持っている。我々は印刷技術を応用して、任意にパターニングされた血管網をin vitroで作成する技術を世界ではじめて考案した。そこで、この技術を歯周病の治療に応用しようとするのが、この研究の目的である。本年度は、この目的に沿って主に2つの研究を行った。1つは、歯肉細胞と血管内皮細胞を基板上に播種し、組織に直接転写する方法と、羊膜を用いて、先に生体外で細胞と血管を羊膜に転写した後、この羊膜を組織に移植する方法の比較検討である。その結果、後者がより安易で安定的に血流を確保できることが明らかとなった。もう1つは、血管内皮細胞のソースとして何を使うかの検討である。現在までの研究で血管内皮細胞前駆細胞(EPC)では血管構築ができないことが明らかになっていることより、大網からの血管内皮細胞と、血球細胞(CD14陽性細胞)を長期間培養した際に、2週間以降で出現してくるlateEPCとを比較検討した。しかし、現在のところ、lateEPCを確実に取る方法が確立できていないので、結論は得られていない。そこで、現時点では大網を用いて実験を行なっている。一方、歯肉細胞とともた歯周再生に重要な細胞である歯根膜細胞にも注目し、新たな培養法(スフェア法)を歯根膜組織の幹細胞単離・培養法として確立した。今後、本法で得られた幹細胞を転写基板上で培養し、再生医療に応用することにしている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
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