研究概要 |
6.5kb connexin43 promoterに緑色蛍光蛋白EGFPをつないだプラスミドを導入したマウスES細胞を用いて胚様体を作成し、さらに、この胚様体をBMP4などの添加培地を用いて神経堤様構造を呈する組織に分化誘導した。この神経堤様組織は、緑色蛍光を発した。神経堤様組織をトリプシン処理後、単離された細胞をセルソーターにかけて、緑色蛍光を発する細胞を分取した。この細胞は、神経堤細胞に特徴的な遺伝子群の発現を呈していることがRT-PCRにより確認された。この細胞をX線照射して分裂能を失わせたMEF細胞上で培養して、数個のクローンを樹立した。この中のNCCD4というクローン細胞およびマウス骨髄細胞を用いて、歯胚の分化誘導の実験を行った。これらの細胞塊の上に胎生10.5日GFPマウスの第一鰓弓上皮を被せ、2日間培養した後、マウス腎皮膜下に移植した。移植後10日で組織を組織学的に解析した。まず、マウス腎皮膜下に胎生10.5日GFPマウスの第一鰓弓そのものを移植して10日後に解析すると、正常な歯胚が形成されることを確認した。しかしながら、NCCD4細胞および骨髄細胞を用いた移植組織では、いずれも、歯胚組織は形成されず、大部分が軟部組織で一部に骨様組織が認められた。Sharpeらの報告(J Dent Res 83:518-522,2004)では、骨髄細胞を用いた移植組織からは歯胚が形成されたとあるが、彼らと同じ方法を用いたにもかかわらず、彼らのような結果は得られなかった。NCCD4細胞および骨髄細胞を第一鰓弓上皮下で3次元的に培養することがうまくできていな点に原因があることが考えられた。そこで、ハイドロゲルを用いてNCCD4細胞および骨髄細胞を第一鰓弓上皮下で3次元的に培養する方法を試みた。現在、この方法による移植組織の組織学的解析を行っているところである。
|