研究概要 |
本年度は歯周病原菌の増殖阻害に関して効果的な光源および照射条件について検索した。 まず,代表的歯周病原菌であるPorphyromonas gingivalis ATCC 33277を用いて血液寒天培地上での菌の増殖に対する光照射の影響を調べた。岡崎基礎医学研究所の大型スペクトログラフを用いて400nm〜700nmの波長の光を一定のエネルギー密度で菌のコロニーに照射した。その結果,400および410nmの波長を照射したコロニーでは430nm以上の波長の光を照射したものおよび非照射のコントロールに対して明らかな成長抑制が認められた。増殖抑制効果が認められた405nmのレーザー照射器を使って,エネルギー密度一定(15J/cm^2)で3通りの強度密度,照射時間の組み合わせで影響を調べた結果,いずれの条件でも強い増殖抑制効果(48時間で65%以上の抑制)が確認できた。強度密度一定(50mW/cm^2)で照射時間の影響を調べた結果,2分以上の照射時間でより強い増殖抑制が確認できた。照射時間一定(5min)で強度密度の影響を調べた結果,30mWでも有意な抑制効果(36時間で約70%抑制)が認められたが,50mWでは100mWと同程度の抑制効果(36時間で約90%抑制)が認められた。以上の結果,P.gingivalisは405nmの光照射により増殖が大幅に抑制され,青色レーザー照射がin vivoでの本菌の除菌手段に応用できる可能性が示唆された。
|