研究概要 |
本年は、脳血管障害への関与が推定される歯周疾患の非侵襲的な検査を開発するにあたり、唾液を検体とする臨床検査の歯周疾患スクリーニング特性を検討した。対象は岩手県内の歯科診療機関および市町村歯科保健モデル事業で同意が得られた203名とした。当日は、CPIを含む歯科検診と咀嚼刺激唾液の採取、ならびに問診票調査を実施した。唾液は検査センターAにおいて遊離ヘモグロビン(Hb)とLDH濃度を計測した。また、歯科診療機関で受診した140名については、同一検体を別の検査センターBで同じく検査した。CPIとの相関係数は、Hbが0.84、LDHが0.82でいずれも有意であった(p<0.05)。A社とB社の計測値の相関係数は0.97以上(p<0.01)で、ほぼ完全な一致が確認された。B社データのCPI3に対する敏感度はHb=0.75,LDH:0.67,特異度はHb:0.78,LDH:0.68で、重度歯周炎で高いスクリーニング性能が示唆された。問診では「歯の動揺」、「出血排膿」および「飲酒週に3回以上」が重度歯周炎の有病に関して有意なOdds比(1.94〜8.9)を示した。本研究より、唾液中遊離ヘモグロビンとLDHをマーカーとした検査は歯周疾患のスクリーニングの手段として実用可能であることが示唆された。
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