研究概要 |
前年度までに実施した大学生の喫煙状況や喫煙に関する実態調査の分析の結果,大学における喫煙防止教育では,専攻別に内容や方法を検討する必要があり,繰り返し実施することでより効果が高まることが示唆された。喫煙に関する知識の提供,喫煙に対する否定的態度の育成,友人の喫煙への対処の技術を喫煙防止教育に組み込むことが必要であることが明らかになった。この結果をもとに,看護学生に対しての喫煙防止教育方法を検討し,実施,評価し,教育介入効果を検討した。 【目的】看護学生の喫煙行動,喫煙に対する態度・知識の経時的変化と,教育的介入の効果を明らかにする。 【方法】看護大学生1・2年次生351名を対象に,集団調査法による無記名式自記式質問紙調査を,第一次調査は2007年4月,第二次調査は2007年10月に実施した。教育的介入は2007年7月に,講義と演習を組み合わせた90分間の集団的教育方法で実施し,介入群と非介入群の設定は大学別とした。分析にはSPSS13.0J for Windowsを使用し,喫煙に対する態度と喫煙に関する知識について,介入の有無による2群間比較と,個人の経時的変化の二側面から分析を実施した。 【結果】1)介入群では喫煙率は変化せず,非介入群では上昇した。2)喫煙に関する知識は介入群で有意に向上した。3)喫煙に関する態度は,介入群で否定的に変化していた。4)喫煙への否定的態度への影響要因は,喫煙に関する知識,友人の喫煙,同居者の喫煙,勉学の充実,介入だった。 【考察】看護学生の喫煙に関する知識は,介入によりさらに向上すること,喫煙に対する態度は時間の経過とともに肯定的に変化する傾向があるが,介入により否定的態度へと変化させることが可能であることが示唆された。 【まとめ】看護学生に対し,喫煙を開始させず,喫煙に関する知識を向上させ,喫煙に対する否定的態度への育成をはかるためには,早期に喫煙防止教育を実施し,その後も継続して看護教育の中で教育を実施していくことが重要であることが明らかになった。喫煙防止教育については,今後も継続して検討をかさね,プログラムとして完成させる予定である。
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