研究課題/領域番号 |
17659671
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
内田 宏美 島根大学, 医学部, 教授 (30243083)
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研究分担者 |
津本 優子 島根大学, 医学部, 講師 (30346390)
福間 美紀 島根大学, 医学部, 助手 (40325056)
佐原 淑子 島根大学, 医学部, 助手 (60362927)
樽井 恵美子 島根大学, 医学部, 助教授 (60294378)
長田 京子 島根大学, 医学部, 助教授 (90325051)
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キーワード | リスクマネジメント / リスクマネージャー / 看護師 / パワー / リーダーシップ |
研究概要 |
本研究は、看護職のリスクマネージャー(RM)が、部門縦割りの官僚制組織である病院において、効果的なリスクマネジメントを展開するためのパワーのメカニズムを、組織論の枠組みであるパワー構造モデルを用いて分析し、効果的なリーダーシップの発現を保証する個人および組織環境の要件とその構造を検討することを目的としている。第一段階として、今年度は、看護職のRMが病院組織全体のリスクマネジメントを効果的に展開するために、どのような手段や方法、戦略を用いているのか、その構造を質的に分析するために、看護職RMからの聞き取り調査を計画した。平成17年9月に所属機関の研究倫理審査委員会の承認を得て、平成17年10月から平成18年2月までの5ヶ月間に、施設長と本人の文書による同意の得られた500床以上の大規模病院のRM3名、100-499床の中規模病院のRM4名の、計7名の聞き取り調査を実施した。7施設の内訳は、国公立病院が4、公的病院が2、医療法人が1であった。許可を得て録音した内容を逐語録に起こしてデータ化し、KJ法により質的分析を行った結果、RMの実践を阻む要素として「管理責任者の認識」「医師との軋轢」「部門の壁」「情報浸透の非効率性」等が存在し、それを乗り越えるために9種類以上の戦略が状況に応じて用いられていることが判明した。その戦略を用いる根底には、コミュニケーションやプロセスに価値を置く看護観や看護管理者としての理念が存在しており、"理念に基づく知的な管理が良い結果をもたらす"ことが示唆された。この成果は、平成18年度日本看護管理学会で報告予定である。次年度は、今年度不十分であった小規模病院・個人病院の聞き取り調査を実施して分析を補足した後、質的分析で得られたRMのパワー・メカニズムをモデル化して、RMのリーダーシップ発揮の要件を検証するための全国規模の質問紙調査を実施する。
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