研究課題/領域番号 |
17659672
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
前田 ひとみ 宮崎大学, 医学部, 助教授 (90183607)
|
研究分担者 |
前田 洋助 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (30284764)
久野 暢子 宮崎大学, 医学部, 助手 (40253760)
|
キーワード | セーフティマネジメント / 血液媒介病原体感染 / 医療者 / 針刺し |
研究概要 |
血液媒介病原体に感染している医療者(以下、血中ウイルス感染医療者)の労働安全衛生の指針を得ることを目的に、針刺し・切創による労災認定者並びに血中ウイルス感染医療者に対する面接並びに質問紙調査と500床以上の病院を対象に組織的な対応やシステムに関する質問紙調査を行った。また、ストレスによるウイルスの増殖を明らかにするために、樹状細胞へのHIV感染系におけるMSHの影響についてin vitroでの実験を行った。 500床以上の病院438施設のうち、有効回答は133施設(有効回答率30.4%)であった。血中ウイルス感染医療者の予防策をマニュアル化している施設は6.8%、針刺し・切創後の抗体陽性不明の時期の職務上の制限をマニュアル化している施設は5.3%であった。針刺し・切創後の抗体検査を施設側で管理している施設は5.3%で、それ以外の施設は当事者任せか、検査受診の時期の連絡のみであった。一方、針刺し・切創経験者18名の面接調査の結果、検査の知らせを受けても、受傷直後以降の抗体検査を受けていない人が81.3%であった。さらに血中ウイルス感染医療者4名のうち3名が、勤務によって定期受診や治療継続に影響があると回答していた。血中ウイルス感染医療者から患者への感染予防として、傷を作らない、標準予防策の遵守などがあげられた。 in vitroでの実験系では、末梢血より樹状細胞を分離し、MSHを加えて、HIVを感染させた。その結果、分離された樹状細胞によって、ウイルス産生量が約3倍増強し、樹状細胞にT細胞株を加えたところ、樹状細胞と反応したT細胞への感染性も同様に増大した。しかし、異なるドナーから分離した樹状細胞ではその作用が認められず、明らかな再現性を証明できなかった。このことが何らかの樹状細胞の個体差を示しているのかについては今後検討する必要がある。
|