研究概要 |
I 研究基盤整備 (1)経絡-臓器機能測定の被験者確保:公民館や整体院等を通じて研究参加者募集のチラシを配布。応募者を面接し研究の説明を行い,後日,自発的に承諾書を提出した女性を被験者とした。 (2)質問紙及び面接ガイド作成:質問紙は東洋医学の観点70項目と赤枝の女性の不定愁訴調査の30項目で構成し4件法のリッカート尺度とした。面接は心身の状況を尋ねる半構成的面接聞き取り法。 (3)実施体制:AMI2台にそれぞれ観察用ビデオカメラとハードディスクを整備。実施場所は研究室,市男女共同参画推進センター内の相談室,整体院の一室を確保。 (4)AMIデータ分析・評価:東洋医学並びに統合医療の観点から2人の専門家を助言者に選び連携体制を整備。 (5)試行調査:被験者は3回のAMI測定を行った2人,及び1回目の測定を行った6人の計8人。 II AMI測定所見 被験者は30代4人,40代3人,50代1人。主訴や既往歴は多彩で心理社会的ストレスを内在し,医薬に限界を感じて全人的ケアを模索していた。本研究への期待は現代医療で対応できない身体の苦痛状況の証明であった。 事例1:50代。5年前に歯科治療を契機に全身疼痛が出現し医学的には原因不明。あらゆる療法を試み現在は整体施療でやや改善。AMI測定では「膀胱経」が低値で仙骨〜腰部の疼痛との関係が示唆され,「膀胱・腎経」「胃経・脾経」が体質的に弱く,これに対応したケアが必要と考えられた。 事例2:心的外傷を抱え心身の不調をもつ40代。AMI所見は「心包経」「心経」の変動が大きくストレスとの関連性が伺われた。今年度の調査結果からAMIデータは統計的な傾向を示すものでなく,個別所見として心身の関係を提示し,日常生活での養生法を導く指標となることが推察された。しかし,看護の診断とケアの処方につながるかどうかは次年度の調査に待つ必要がある。 III 18年度計画 1.測定調査とデータ分析 2.カリフォルニア人間科学大学院のAMI研究者と提携し,AMI測定と看護ケアの相互性を探究する。
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