3年の研究期間の初年度として、交付申請書の計画通り、文献レビュー、標準介入計画の作成、家族看護介入とデータの収集を実施した。4事例のプレテストののち、研究手順および標準介入計画に修正を加え、現在1事例の介入群データ収集を終了した。特に以下の3点の検討と調整を中心に実施した。 1.文献レビューとプレテストによる標準介入計画作成 介入援助の内容・方法をどの程度柔軟に変更して良いかという標準介入計画の詳細さについて慎重に検討した。本研究では、看護師誰もが実践可能でかつ有効な家族介入の手順作成を目的としている。しかし対象となる家族の状況は様々であり、かつその場の看護師の判断と実践力による自由裁量で家族看護介入を行う部分も多く含む。プレテストを重ねる中で、自らの介入傾向もふり返りながら、介入内容項目の洗練化の過程を経て、詳細な手順化までを要する項目と、比較的自由裁量に任せられる項目の2つに分けて、標準介入計画を作成した。 2.介入効果を判定する調査紙の妥当性の検討 調査紙の感受性や実行可能性については調査紙の記載上の問題はなく、弁別力があるという手応えを得た。ただし、家族のストレスをQOL尺度だけで測定するには限界があるため、新たにZarit介護負担尺度日本語版(短縮版)を追加することとした。 3.研究対象事例の把握と確保のための体制づくり 入院期間が短縮している状況下で、対象の条件を複数付しているため、事例数が少なくかつ事前把握し難い。そこで、協力病院の状況に合わせた対象候補となる事例の把握方法と、無理なく介入が設定ができる体制づくりを行った。また対象事例数の確保のために、協力病院追加の依頼および調整を行っている。
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