本年度は、平成17年度に作成された足把持力測定器を用いて、健常成人ならびに高齢者を対象に足把持力を測定し、以下の知見が示された。 1.健常成人男性16名の左右32肢を対象に足把持力から得られる測定値の再現性を検討した。その結果、対象者の足把持力は平均17.4±4.5kgであり、最大値到達時間は0.66±0.26秒であった。また、測定値の再現性は、足把持力がICC=0.953、最大値到達時間がICC=0.723であり、臨床場面での使用に充分耐え得る再現性を有することが示された(理学療法科学21巻4号に掲載)。 2.健常成人における足把持力は、その最大値および最大値までの到達時間に、左右や利き足と非利き足の間に有意差は認められなかった。このことから弱化した足把持力トレーニングの目標設定を反対側下肢の足把持力とする指標が示された(理学療法科学に印刷中)。 3.健常成人と高齢者の足把持力を比較すると、高齢者の足把持力は健常成人の48.3%、最大値到達時間は214.3%であり、握力は71.2%であった。これらの成績から、足把持力や最大値到達時間などの足把持機能は、握力に比べ加齢の影響を受けやすいことが示された(理学療法科学に印刷中)。 来年度は、足把持力測定器から得られる測定値の有用性を検討するため、高齢者の足把持力と片足立ち位での重心動揺やFunctional Reachによる立位バランスとの関連を検証する。さらには、地域在住高齢者の転倒との関連性を検証する。また、数百人の地域在住高齢者の足把持力を測定し、加齢や生活環境・習慣を考慮した「足把持力の年代別標準値」を作成する予定である。
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