研究課題/領域番号 |
17659721
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研究機関 | 香川短期大学 |
研究代表者 |
和泉 とみ代 香川短期大学, 生活文化学科, 教授 (00342337)
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研究分担者 |
田頭 佳子 香川短期大学, 幼児教育学科, 講師 (90353143)
多田 敏子 徳島大学, 医学部, 教授 (30127857)
谷岡 哲也 徳島大学, 医学部, 助教授 (90319997)
原渕 陽一 香川短期大学, 生活文化学科, 講師 (50413563)
橋本 由紀子 吉備国際大学, 社会福祉学科, 助教授 (70330628)
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キーワード | 知的障害者 / ヘルスプロモーション / 健康教材 / 地域生活支援 / 健康支援 / 自己決定・自己選択 |
研究概要 |
徳島県A町に暮らす知的障害者(以下、本人)のうち2005年6月に定期健診受診者82名を対象にした。地域で暮らす知的障害者のヘルスプロモーションモデル(以下、仮説モデル)に基づき以下の介入を行った。本人向けの(1)健康教室「からだのべんきょう会」1/M、(2)体操講座1/2W、(3)プール講座1/2W、(4)料理教室1/M、を開催した。各講座への参加は、本人の自己決定・自己選択にゆだねた。これら本人への介入に加え、支援者ワークショップ(世話人22名、生活支援ワーカー1名)及び各講座担当者会議を開催し、支援システムの整備と支援方法の統一・連携を図った。これらの介入を2005年、2006年と継続し、HPモデル検証のためBody Mass Index(以下BMI)、定期健康診査(血圧、GOT、GPT、γGTP、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、空腹時血糖)の結果ならびに健康行動の変化を測定した。 対象者82名のうち、2年後に定期健康診査結果を得られたのは70名であった。このうち、グループホームで暮らしている者(以下GH群)60名、アパート等で自立して生活している者(以下自活群)10名に分けることができた。本人向け講座の参加は2005年に比べ、「からだのべんきょう会」15名から12名に、体操講座14名から9名に、プール講座13名から11名に、料理教室21名から11名と減少傾向をしめしたが、散歩や徒歩で通勤する者が増え26名となった。BMI25以上の者は、GH群介入前26名が介入後11名に、自活群介入前10名が介入後8名に減少した。定期健康診査では、高血圧の者がGH群4名から2名に減少し、自活群変化なし1名であった。肝機能異常の者はGH群7名から5名に、自活群3名から2名に減少した。空腹時血糖110以上の者は、GH群4名から3名に、自活群変化なし2名で改善傾向が見られた。しかし、中性脂肪150以上の者はGH群4名から6名に、自活群変化なし2名と悪化傾向が見られた。 これらの変化の要因として、散歩や徒歩による通勤など簡単な健康維持の方法を知り実践することで着実に体重減少がみられ、世話人や地域支援ワーカーから賞賛されることにより自尊心をたかめ、健康を自ら守ろうという意識が芽生えたと考えられる。この間、自立支援法が施行に伴い世話人の短労グループホーム数が増加するなどの生活環境に変化が生じたが、支援者ワークショップや各講座担当者会議の開催を行うことで継続的な支援を行うことができた。定期健康診査の結果ではGH群において改善し、自活群ではあまり改善が見られなかった。このことは、GH群では世話人による支援が継続的になされており、支援回数や内容が影響していると考えられる。また、本人むけの講座への参加回数もGH群が多いため、健康に関する認識の向上が見られるとともに運動の機会も得られていることが影響しているのではないだろうか。
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