研究概要 |
初年度においては,標準的な高速ネットワーク技術を比較,検討するとともに,安価で高性能なクラスタシステムの設計を行い,PCI Express, InfiniBand技術を活用した16ノード,32プロセッサ構成のシステムを構築した.これと並行して,SPMD型並列プログラミング言語に関してCray社との間でCo-Array Fortfan(CAF)コンパイラの実装・最適化に関する研究協力を開始し,現在,高速な一方向通信ライブラリであるSHMEMを用いたCAFの実装を,Cray XT3システム上で行っている段階である. クラスタに対応した並列プログラミング言語については,他に地球シミュレータセンターで開発が進められているMPIベースのHigh Performance Fortran処理系であるfhpfや,報処理開発機構により開発されたOmni OpenMPコンパイラをもとに,MPIベースのソフトウェア分散共有メモリ環境を提供するOmni/CASH MPIなどが開発されている.今年度は,これらの既存の技術の評価もあわせて実施した.この結果,ソフトウェア分散共有メモリについては,バリア同期等の前処理に必要なコストが線形計算の場合に大きいことが分かった.バリア同期の処理コストについては,ソフトウェアの改良により今後改善の余地があると思われるが,一般に通信の多い線形計算に対しては,SPMD型言語の利用が望ましいと考えられる.
|