研究概要 |
本研究では,分散計算による制約プログラミングの基盤技術として,連続領域上のソフト制約を高速に処理する分散協調型の制約解消系を研究開発する.そのためにまず,部分問題を担当する複数の制約解消系が協調的に元の問題の解を求められるようにするための分散協調制約解消の基礎理論とアルゴリズムを構築する.またそのアルゴリズムを,分散計算システム上で動作する制約解消系ソフトウェアとして実装して性能評価を行い,分散計算による効果を実証する. 初年度である平成17年度においては,分散協調によるソフト制約解消のための基礎理論の構築について検討を行った.本研究においては,ソフト制約のスケジュール方式の理論として本研究代表者が過去に提案した一般化局所伝播法を発展させるという方針を採っており,特に,区間制約の概念を新たに導入することで一般化局所伝播法を拡張することを試みている.その第1段階として今年度は,区間制約を用いた大域最適化によって,階層的優先度を備えたソフト制約を処理する方式について研究し,その定式化とアルゴリズムの構築を行った.この定式化は,区間制約の考え方に基づいて,階層的優先度を備えたソフト制約の解の定義を実現した最初のものであり,階層的優先度の扱いにおける曖昧性の考慮の必要性を示唆している.またこの方式は,問題を分割することで大域的な最適解の探索を行うものであるため,分散計算にも適していると考えられ,今後そのための拡張を行う予定である.
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