研究概要 |
音楽や画像のデジタルコンテンツの膨大化に伴い,電子透かしやフィンガープリントなど,いくつかのコンテンツ管理の識別方式が提案されている.しかしながら,近年のファイル交換ソフトウェアによる,不正なネットワーク配信は著作権侵害やCD売り上げ数減少といった深刻な問題となっている.その対策として,例えば,ネットワーク上に流通しているコンテンツを識別するなど,コンテンツ管理技術をDRM(デジタル著作権管理)技術として利用する手法として,電子透かしや電子指紋が注目されている.電子透かしは,楽曲に人間が知覚できない音素を予め挿入しておき,特別な処理によってその信号を取り出すものである.またオーディオ用電子指紋(FingerPrint,以下FP)とは,オーディオ内容の知覚に関連する部分をコンパクトに表現したものであり,たとえそれらが圧縮などの信号加工処理のため著しく質が劣化していたとしても,オーディオファイルを識別するために一番近いオーディオFPを使用できる.いずれの方式でも,楽曲が与えられたとき,その曲を特定することができるが,従来のソフトウェアを用いた検出では,処理時間が多く必要であり,インターネットには適用することができなかった.今年度は電子指紋に焦点を当て研究を進めた.従来ソフトウェアで20Mbpsに達しなかった検出速度を,我々の提案した回路では200Mbps以上の速度で検出可能となった.更に,実用化に際しては,十分高速に透かしや指紋を検出したとしても,ネット上で流通している数十万〜数百万曲の中から瞬時に合致する透かしや指紋を抽出しなければならない.本年度は大規模楽曲データベースからの検出方法についても研究を行った.
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