本年度は、分散経路制御方式および資源管理機構の実装に取り組み、実装した制御手法の処理オーバーヘッドを実験を通して計測し、処理オーバーヘッドが十分に小さいことを示した。実装システムは、資源予約モジュール、ルーティングモジュール、リンク情報収集モジュールの各モジュールで構成され、それぞれのモジュールをC++言語を用いて作成した。各ノードは自ノードを出発ノードとする光パスの情報を収集する。また、物理リンクの情報に光パス設定情報を加え隣接ノード間でその情報を交換し、ネットワーク全体に光パス情報を配布する。各ノードでは配布されたWDMネットワークの光パス設定情報をトポロジデータベースとして保持する。各ノードは、この情報を用いて光パスによる論理リンクを含むトポロジー上で最小コスト経路を探索する。ノード8台で制御プレーンを構成した実験ネットワークを構築し、分散経路制御方式および資源管理機構を動作させ、実装システムの処理遅延を計測した。その結果、平均値で300μsec、最悪値で600μsecとなり実用上十分に小さい値となることを確認した。さらに、制御プレーンおよびデータプレーンで構成される4ノード実験ネットワークを構築し、RSVP-TEをベースに実装した光パス設定方式の実装と分散経路制御方式の実装を組み合わせてPC上で動作させてデータ転送実験をおこない、データ転送時のスループットが改善されることを確認した。
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