研究概要 |
本課題では,ロボットと人間との相互協調系について"力学系の視点からの解析"と"人間とのインタラクション実験"によって,その特徴を明らかにすることを目的としている. 人間は自らの行動を動作単位に分節し,認識や生成に利用している.幼児期ではこの動作単位が音声に変換され,原始的なシンボルの基盤となっていると考えられる.本研究では、人工神経回路モデル(Neural Network : NN)を利用した動作単位の自己組織的な抽出と音声への変換、人間との協調を実現する。さらに、人間とロボットのインタラクションの形態遷移を観察することで,協調形態の遷移と人間の心理実験との対応について分析を行う. 平成18年度は,谷により提案されたパラメータ付Recurrent Neural Network (RNN)を,言語学習と人間型ロボット動作学習に利用し,言語と動作の意味的結合及び人間とのインタラクションへ応用することを目的とした.具体的には言語を学習するRNNと動作を学習するRNNの一部のノードを共有させることで,動作と言語の双方向変換を行う手法を提案した. まずロボットに卓上のアーム移動動作を行わせる.各動作に対してそれを表現する複数の英文(表現と分節化数)を与えると,神経回路モデルの予測誤差に基づいた適切な分節点を導出する手法を提案した.この手法を用いて,副詞を含む複数文章(重文)による動作生成,そして動作からの複数文章生成について検討した. 実験の結果,未学習の複数文章に対応した動作生成が可能であること,逆に未学習動作の入力に対して,表現すべき文章数に応じて副詞表現を使い分けた,適切な文章群を生成可能であることを示した.
|