本研究課題1年目となる本年は、主に実験装置のセットアップや被験体となる動物の訓練を行った。 課題を遂行中の動物から単一ニューロン活動などの神経活動の記録を行うためにひつような、生体アンプ、ウィンドウディスクリミネータ、オシロスコープ、および、眼球位置記録装置などの電気生理学の基本装備を整えた。さらに、サルに視覚刺激を呈示するための視覚呈示システムを製作するため、パーソナルコンピュータに刺激呈示ソフトウェアである「Presentation」をインストールして、必要なプログラミングを行った。これらの刺激装置の制御、およびデータの収集をすべて自動で行うために、パーソナルコンピュータにデータ収集ボードを組み込み、タスク制御・データ収集プログラムを独自に作成した。 動物の訓練に関しては、現在3頭のサルを同時に訓練している。用いている課題は、複数の刺激を条件刺激として用いて、それらの半数がジュースを、残りの半数が食塩水を与えられることを予告するという課題を訓練した。ヒトの場合、視覚刺激としてはまったく類似性の無いものでも、それが同じ意味を持っている場合には、それらをカテゴリ化して学習することが知られているが、この実験に用いているサルでもそのようなカテゴリ化がおこることが明らかになった。 次年度以降には、これらのサルから神経活動を記録し、刺激や刺激カテゴリが脳内でどのように表象されるのかを明らかにしていく予定である。
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