研究課題
内耳有毛細胞の不動毛の発生・維持に関与する新たな分子の同定、さらに、新たなヒト難聴モデルマウスの樹立を目的とし、本研究を行い、以下の結果を得た。(1)不動毛維持に機能するSANSおよびHarmoninと相互作用する蛋白質の同定不動毛維持に機能する2種のスカフォールド蛋白質SANSおよびHarmoninと相互作用する新規蛋白質のスクリーニングおよび相互作用を検討した結果、SANSと相互作用する新規分子として、G蛋白結合蛋白質の1種であるGnb211を同定した。次に、抗Gnb211抗体を用いて、有毛細胞におけるその局在を調査した結果、Gnb211は不動毛、細胞体とも発現が認められ、特に、不動毛と細胞体の結合部であるクチクラプレートで強い発現が認められた。現在、理化学研究所との共同研究によって、Gnb211突然変異マウスを得るため、ENUミュータジェネシスライブラリーのスクリーニングを行っている。また、他のSANSおよびHarmoninと相互作用する候補蛋白質についても相互作用の検証を行っている。(2)不動毛伸長に機能するWhirlinと相互作用する蛋白質の同定不動毛伸長に機能するスカフォールド蛋白質Whirlinと相互作用する新規蛋白質をスクリーニングおよび相互作用を検討した結果、共にMAGUKファミリーに属し、類似した一時構造を示すp55およびCASKとin vitroおよびin vivoで結合することが明らかとなった。次に、p55およびCASKの局在を調査した結果、p55は有毛細胞上、特に、不動毛形成初期においてはクチクラプレート上の微絨毛を覆うように局在していた。一方、CASKの発現は有毛細胞で一様にその発現が認められた。また、p55およびCASKはそれぞれ、赤血球膜蛋白質およびバンド4.1と複合体を形成することが知られている。そこで、4.1アイソフォームの有毛細胞での局在を調査した。その結果、p55と赤血球膜で複合体を形成する4.1Rはp55と一致した局在を示し、CASKと神経細胞膜で複合体を形成する4.1Nは不動毛全体で特異的な発現を示した。現在、4.1Rノックアウト(KO)マウスの解析、p55-KOマウス作製および4.1N突然変異マウスを得るためのENUミュータジェネシスライブラリーのスクリーニングを行っている。
すべて 2006 2005
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