研究課題
内耳有毛細胞の不動毛の発生・維持に関与する新たな分子の同定、さらに、新規ヒト難聴モデルマウスの樹立を目的として解析を行い、以下の結果を得た。1.内耳有毛細胞で機能する新規スカフォールド蛋白質に相互作用する蛋白質の探索および同定SANSおよびWhirlinをbaitとして酵母2-hybrid法によりスクリーニングした蛋白質との相互作用をGST Pull-downアッセイにより検証した。その結果、新たに膜蛋白であるItm2aがSANSとin vitroで相互作用することが明らかとなった。次にItm2aのペプチド抗体を作成し、有毛細胞における局在を調査した結果、不動毛での発現は認められなかったが、動毛で強い発現を示した。また、Harmoninと相互作用する蛋白質の2-hybridスクリーニングを行った結果、6種の蛋白質が単離された。2.4.1蛋白質の発現パターンの解析本研究において、WhirlinがMAGUKファミリーのp55およびCASKが結合し、さらに、それらを介して4.1ファミリーの4.1Rおよび4.1Nとコンプレックスを形成することが明らかとなった(PNAS2006)。そこで他の4.1ファミリーに属する4.1Gおよび4.1Bについても発現解析を行った。その結果、両者ともに有毛細胞での局在が明らかとなり、4.1Gは核膜に、4.1Bは不動毛および細胞質と聴神経とのジャンクションで特異的に発現することが明らかとなった。3.4.1Rノックアウト(KO)マウスの解析およびp55 KOマウスの作製Whirlinとp55を介してコンプレックスを形成することが明らかとなった4.1R KOマウスの内耳表現型を電子顕微鏡により観察した結果、不動毛において異常は認められなかった。しかしながら、野生型と比べ、4.1R KOマウスでは聴力の低下が認められ、約60dBの閾値を示した。また、p55 KOマウスを作製するため、ターゲッティングベクターをES細胞に導入し、2ラインの変異細胞株を得た。
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