研究概要 |
内耳有毛細胞の不動毛の発生・維持に関与する新たな分子の同定、さらに、新規ヒト難聴モデルマウスの樹立を目的として解析を行い、以下の結果を得た。 1.内耳有毛細胞で機能する新規スカフォールド蛋白質に相互作用する蛋白質の探索および同定:過去2年間に引き続き、内耳有毛細胞で機能する3種のスカフォールド蛋白質であるSANS, HarmoninおよびWhirlinと相互作用する蛋白質のスクリーニングを行い、新たに5種の候補蛋白質を単離した。 2.4.1NをプローブとしたマウスENUミュータジェネシスライブラリーのスクリーニング:Whirlinとの相互作用が明らかとなったGnb211および4.1Nのマウス突然変異体を得るため、理化学研究所ゲノム科学総合センターのマウスENUミュータジェネシスライブラリーからそれぞれの遺伝子に変異をもつマウスのスクリーニングを行った。その結果、4.1Nにおいて455番目のアスパラギンがセリンに置換した個体(Asn455Ser)および17番目のグルタミン酸がグリシンに置換した個体(Glu17Gly)の計2個体のミスセンス突然変異をもつ個体を単離した。現在両個体の系統化を行っている。 3.4.1Rノックアウトマウスの解析およびp55ノックアウトマウスの作製:Whirlinと内耳有毛細胞で複合体を形成することが判明したMAGUKファミリーのp55ノックアウト(KO)マウスの作製、およびバンド4.1のアイソフォームである4.1R-KOマウスの解析を試みた。その結果、4.1R-KOは昨年度報告書で示したように聴力異常を示し、特に蝸牛神経細胞節の細胞減少が認められた。また、p55のKOマウスについては2系統の変異ES細胞株を単離したが、生殖細胞へは分化せず、現時点でKOマウス作製には至っていない。現在継続してp55-KOマウスの作製を行っている。
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