研究概要 |
本研究では画像誘導手術のための次世代ナビゲーションとして,三次元立体画像Integral Videography(IV)を患部に直接重ね合わせ,手術空間を構築し外科医にリアルタイム画像誘導手術支援環境を構築した.具体的には 腫瘍術中セグメンテーションおよびIV像作成:IV画像作成の際には,対象物の表面を予めに抽出しておく必要がある.そこで,術中MR画像から即座に腫瘍IV画像を作成するためには,腫瘍術中セグメンテーション法とそれに対応するIV画像作成法の開発を行った. 臨床現場に適した患者・画像間レジストレーション:従来のIVオーバーレイシステムは,初期位置を手動で合わせる半自動的な患者・画像間レジストレーションを適用していた.そこで,マーカーを基準とした自動的な患者・画像間レジストレーション法を開発した. 各モジュールのシステム統合:ナビゲーションソフトウェアを組み込むことで,医療画像フォーマットへの対応及び座標系の統一が実現でき,異なる医療環境においても問題なくシステムが導入可能となった.また,前述の腫瘍の術中セグメンテーション,患者・画像間レジストレーション及びナビゲーションソフトウェアの統合による,臨床導入可能なシステムを開発した. また,Open MRI誘導下脳神経外科手術への応用のため,構築したIVオーバーレイ画像誘導手術支援システムにおける評価実験により,脳腫瘍術中セグメンテーション精度が平均80%,従来法に比べたアプローチ時間が平均76%短縮可能,アプローチ成功率が平均20%向上,IVオーバーレイ精度が平均0.90mmという結果が得られ,本研究で開発したシステムがOpen MRI誘導下脳神経外科手術に十分導入可能であることを確認した.
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