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2007 年度 実績報告書

高偏極キセノンを利用した脳機能計測法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17680040
研究機関秋田県立脳血管研究センター(研究局)

研究代表者

中村 和浩  秋田県立脳血管研究センター, 研究局・放射線医学研究部, 研究員 (10312638)

キーワードNMR / 高偏極 / キセノン / 組織酸素分圧 / ケミカルシフト / MRI / 脳 / 縱緩和時間
研究概要

高偏極キセノンの組織縦緩和時間(Tlxe)と脳内酸素濃度の関係を見出し、新しい脳機能測定手法を開発することが本研究の目的である。これまでの研究で、生理状態の違いによりTlxeが変化する可能性が示された。この変化を利用することで、キセノンを用いた病態検出ができるのではないかと考えた。そこで、平成19年度は酸素代謝が異なる病態モデルとして、脳腫瘍や脳梗塞モデルラットを用いて実験をおこなった。
尾状核にC6グリオーマ細胞を移植したのち、2週間経過した3匹の脳腫瘍モデルラットについて、偏極キセノン信号のケミカル周波数の変化と縦緩和時間の計測をおこなったところ、スペクトラム形状に変化は観察されなかった。また、キセノン信号の組織減衰時間は13.5±1.9秒であり、正常ラットの11.7±1.8秒との間に有意な差は認められなかった。測定後、病理標本を作製して腫瘍の大きさを確認したところ、腫瘍組織は脳全体のおよそ20%程度の体積を示しており、充分大きい領域に腫瘍が湿潤していた。この実験結果は高偏極キセノンの組織減衰時間に基づいて、腫瘍組織を識別することが困難であることを示したと考えている。また、60分間の中大脳動脈虚血の後、再灌流した脳梗塞モデルラットでは、再灌流後48時間程度で顕著な脳血流量の上昇が観察される。脳梗塞領域では組織状態が大きく変化する。この組織変化が高偏極キセノンガスを用いて検出できるのではないかと考え実験をおこなった。しかしながら、3匹のモデルラットを用いて高偏極キセノンガスを吸入させたときのスペクトラムを観察したが、顕著な変化は観察できなかった。
高偏極キセノンガスを用いた研究は挑戦的な研究であったが、これまでの研究においてキセノンでなければ識別できないような脳疾患の検出に成功していない。高偏極キセノンガスを用いたMRIの有用性を見つけていくことが今後の課題である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Confirming the existence of five peaks in 129Xe rat head spectra2007

    • 著者名/発表者名
      Jeff Kershaw
    • 雑誌名

      Magnetic Resonance in Medicine 57

      ページ: 791-797

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Acetazolamide負荷による脳血流量変化を用いた高偏極キセノン129脳組織内縦緩和時間の推定2007

    • 著者名/発表者名
      中村 和浩
    • 雑誌名

      日本磁気共鳴学会雑誌 27S

      ページ: 349

  • [雑誌論文] ラット頭部高偏極キセノン129信号の動態解析による胸部キセノン保持時間の推定2007

    • 著者名/発表者名
      中村 和浩
    • 雑誌名

      日本磁気共鳴学会雑誌 27S

      ページ: 350

  • [雑誌論文] 炭酸ガス負荷による脳血流量変化を用いた高偏極キセノン129脳組織内縦緩和時間の推定2007

    • 著者名/発表者名
      中村 和浩
    • 雑誌名

      日本磁気共鳴学会雑誌 27S

      ページ: 352

  • [学会発表] アルカリ金属蒸気を用いた高感度磁気センサーの検討2007

    • 著者名/発表者名
      中村 和浩
    • 学会等名
      第41回 日本生体医工学会 東北支部大会
    • 発表場所
      秋田大学
    • 年月日
      2007-12-01
  • [学会発表] ラット脳における高偏極キセノン縦緩和時間推定に与える肺動態の影響2007

    • 著者名/発表者名
      中村 和浩
    • 学会等名
      第46回 NMR討論会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター
    • 年月日
      2007-09-11

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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