研究概要 |
今年度は,3次元並列型画像処理ライブラリの基礎的検討を行うとともに,並列型画像処理ライブラリのプロトタイプの作成,およびライブラリの有効性の実証のためにPCクラスタの構築を行った. 基礎検討項目として,以前開発した3次元集中度画像を計算するためのプログラムのうち一部の関数をMPI (Message Passing Interface)を用いて並列化した.並列化した関数は,メディアンフィルタ,ユークリッド距離変換,および3次元集中度フィルタである.これらは,それぞれ画素ごと,スライスごと,および線素ごとに独立して計算可能である.並列化したプログラムを名古屋大学情報連携基盤センターに設置されたスーパーコンピュータPRIMEPOWER HPC2500で実行したところ,用いるCPUの数が16個程度まではほぼCPU数に応じた並列効果が得られた.また,120MByte程度の画像をCPU間で転送するために,MPI_Bcast関数とMPI_Gather関数では0.0〜0.4秒,MPI_Reduce関数では1.0〜2.4秒を要しており,並列化による高速化のためにはMPI_Reduce関数を使用すべきではなくアルゴリズムの変更が必要であることが分かった. 並列型画像処理ライブラリの作成のために,基本的な画像処理アルゴリズムの利用状況を調査した.さらに,ライブラリのプロトタイプとして,とくに使用頻度が高いと考えられる30個程度の関数を用いて並列化した. また,新たな画像処理アルゴリズムの開発を行った.本アルゴリズムは濃淡画像から境界面のエッジ強度と近似曲面を計算できるものであり,胸部CT像から肺,血管,骨領域などの境界面を抽出できることを確認した.
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