研究概要 |
本年度は,並列計算プログラムを容易に作成するための手法の開発を行った.スーパーコンピュータやPCクラスタなどの大規模計算環境上で並列計算を行うことにより,処理時間の短縮や大容量メモリの使用が可能になるなどの利点がある.一方で,効率のよい並列計算プログラムを作成するには並列計算に関する十分な知識や,プログラミング時の意識が必要となり,これらの欠如によりバグの発生につながる.そこでこの種のバグの発生を回避するために,遂次計算プログラミングとほぼ同じ感覚でプログラミングすることによって簡便に並列計算プログラムの作成ができるマクロ集の開発を行った.前年度までに開発した並列画像処理ライブラリと本マクロ集とを併用することにより,プログラマは並列計算の知識がなくても並列計算を行うことができることや,プログラミングに要する時間を短縮できるなどの利点がある. また,並列画像処理ライブラリ,およびマクロ集の実用性を検証するための医用画像診断ツールの開発を行った.これにより,パラメータの最適化,および大量の症例を一度に分類するときなど大規模な計算が必要な際には並列計算を行い,通常の診断の際にはパソコンで遂次計算を行うなどの使い分けが可能になる.本ツールを用いて100症例程度の胸部CT像に対して肺腫瘤の分類実験を行った.なお,本ツールでは,医師が診断に使用する画像所見を定量化し,分類のための特微量として用いている.そこで,画像所見と画像特微量の関係に関する基礎的な検討を行った.
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