2次元触覚情報提示とセンシングによる入力機能を備えた、新しい入出力インターフェースデバイスを開発する。文字の形(墨字)や図形、また動画情報を触覚ディスプレイで提示することは、多くの視覚障害者へ触読を可能にするだけでなく、触知ピンの凹凸を見ることで視覚情報の提示も可能にできる。触覚ディスプレイにタッチパネル液晶と同じような情報入力機能を付加することで、晴眼者だけでなく視覚障害者も複雑な情報処理を簡単かつ確実に行えるようになる。触知ピンの駆動には、素線径50μm、コイル径200μmの形状記憶合金コイル(以後、SMAコイルと称す)を用いており、また、磁気によるラッチ機構を兼ね備えることで、SMAコイルの過加熱と消費電力を抑えている。昨年度は触知ピンの高密度配列のための試作、評価を行った。また、YAGレーザーによる局所加熱によりSMAコイルを組み付ける装置を立ち上げ、微小はんだ接合を可能にしたことで、高精度で再現性が高い組立方法を確立した。 本年度は、入力センシング機構を触覚ピンディスプレイに組み込むことで、指による触知ピンへの入力を検出した。触覚ピンの上下位置検出にはフォトリフレクタを利用し、ピンの位置(上、もしくは下)を検出した。フォトリフレクタは、ピンディスプレイのモジュール基板に実装可能であるため位置合わせが簡単であり、また、処理回路も同基板上に実装できる利点から、小型化・集積化が可能になる。 また、2次元に配列されたピンを上下に多段階に動かすことで、高低差を持つ地図などの立体形状が提示できる3次元ディスプレイモジュールを試作し、安定動作させた。試作したモジュールは、3段階の磁気ラッチ機構を有している。それぞれの位置で安定して駆動/固定するための駆動信号の入力方法も検討し、安定した動作が実現された。 以上の結果から、入力センシング機能を有した2次元触覚インターフェースデバイスのフィージビリティを確認し、本研究の目的をほぼ計画通り達した。
|