研究概要 |
1.運動平衡保持課題呈示装置およびプログラムの開発 後述する実験を実施するためにオリジナルの装置を製作し,さらに制御プログラムとデータ解析用プログラムを開発した。当該装置は2つのサーボモータにリンク機構が接続され,被検者が水平2次元平面で運動を行う際に運動負荷を加える機能を有するものとした。被検者が出力した力は6軸トルクセンサーによって,また被検者の四肢を設置するインターフェース部分の座標はロータリエンコーダによって計測する機能を搭載した。 2.運動平衡保持課題によるパフォーマンス測定方法の確立 運動平衡保持課題を呈示する場合の力の増減速度(周期)によって検出される結果の特徴,および運動学習効果を検出するために感度の良い指標は何か,を明らかにすることを目的に実験を行った。被験者は健康な男性とし,膝関節伸展運動について検討した。課題呈示力はサイン波形を描くように徐々に強度を増加し(サイン型課題),35Nを最大呈示力とした。呈示力の増減周期は,最大呈示力に達するまで3秒(Fst),6秒(Med),9秒(Slw)の3種類を設定した。1試技の測定では3種類の周期が1回出現するように無作為順で組み合わせた。初日評価に引き続き,介入練習を3日間で40試技行わせ,その後に再評価を実施した。介入は測定課題と同様に無作為順で3種類の周期を組み合わせた。再評価の結果,位置座標の恒常誤差において周期に有意な主効果があった。また,介入効果を検出したのは,周期Slwにおける位置座標の恒常誤差であった。いずれの指標も,呈示力が最大に達する直前において有意に高い数値を示した。これらにより,周期や指標により介入効果検出の感度は異なっており,位置座標における恒常誤差の感度が高いことが明らかとなった。
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