研究概要 |
1.運動経験による体性感覚-運動連関機能の差異 運動経験によって,体性感覚機能,運動機能,そして体性感覚機能と運動機能どの連関によって達成される課題遂行の機能(体性感覚-運動連関機能)のそれぞれが,運動を特別に行っていない健康な成人と異なるかどうかについて検討した。さらに,体性感覚の選択的な機能評価には,関節運動検出閾値を計測した。また運動機能の計測は,一定の目標値に筋出力を合わせる軌跡追従課題を行なわせた。そして,体性感覚-運動連関機能については,我々が開発してきた運動感覚機能評価練習装置(キネステージ)を使用して行う運動平衡保持法,および従来から行われている再現課題を行わせた。 結果として,運動経験者では体性感覚機能および運動機能を選択的に評価した場合に,成績が優れていた。また,それらの機能を総合的に評価する体性感覚-運動連関機能については,運動平衡保持法の成績からは運動経験者が優れていることが検出された。しかし,再現法では運動経験で異なる機能的差異を検出することはできなかった。運動経験によって変化する体性感覚-運動連関機能の評価においては,運動平衡保持法の方が再現と比較して検出できる可能性が高いものと考えた。 2.変形性股関節症症例における体性感覚-運動連関機能の評価 キネステージを使用して,変形性股関節症症例の術前および術後回復期の体性感覚-運動連関機能を評価し,その経過を観察した。現時点で,術前のデータのみまとめ終わっている。 結果として,症状が重篤である術側の術前評価において,対照とした健康な群だけでなく,非術側と比較しても有意に機能が低下していることが示唆された。
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