本研究では、過去50年間のアフリカ南部における気候と気候変動を明らかにすることを目的としており、この地域の気候に大きな影響を及ぼすと予察された北大西洋との南北循環、南極との南北循環、そしてインド洋との東西循環という3つの循環に関して解析するアプローチを進め、この地域の気候と気候変動のメカニズムを明らかにしてきた。 まず、現地での気候観測により、ナミビアの大西洋岸で発生する霧が、移流霧だけではなく、季節によっては放射霧もあることを発見し、そのメカニズムを解明した。また、この地域の気候と気候変動に関しては、ITCZの南下と温帯の前線帯の北上が重要であり、その季節変化や経年変化を明らかにした。さらに、テレコネクションパターンによる解析により、アフリカ南部で、上記3つの南北・東西循環の降水量に対する寄与率を解析し、その分布を明らかにした。この中でも、特に南アフリカ・ナミビア国境地帯のナマワクランドにおける降水量の経年変化について、事例解析的に研究を進めた。 今年度は本課題研究の最終年度であり、これまでに収集した資料・データの解析を進め、とりまとめを行ったが、土で記した結果の学会発表および国際学会誌への投稿は、現在進行中であり、平成20年度に掲載予定のものが数本ある。 こうして、3年間で、国際誌への論文投稿・国内外での学会発表及び一般向けの図書の分担執筆など、日本におけるアフリカ研究のうち、気候研究に対しては、一定の役割を果たしてきたと自負している。
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