(1)現場海洋における溶存温暖化物質測定 西部北太平洋および相模湾において現場海洋におけるメタン・亜酸化窒素などの分布を明らかにするため、観測・測定を行った。これらのデータと過去観測データを比較検討することにより、沿岸域および外洋域において、メタンの季節変動を把握することが出来た。メタンの生成は春先の植物プランクトンの増殖に呼応せず、夏から秋にかけて亜表層で増大することが改めて確認された。 (2)天然海水培養実験による海水中温暖化物質生成・吸収量の把握 西部北太平洋亜熱帯域と相模湾の海水を用いて、深層水添加あるいは栄養塩添加培養によって生物生産を活発化させ、生成する生物起源気体を測定した。亜熱帯外用水についても、沿岸水と同様、生物生産の増大に伴い、数nMのメタンの増加が認められた。植物プランクトン量の指標となるクロロフィルとの相関は必ずしも高くない。植物プランクトンの大増殖後1-2日のタイムラグの後生成が起こるようである。相模湾海水については、生地培養ではメタンが生成したが、海水を攪拌しながら培養したところ、メタンの生成が検出できなかった。有機物粒子の凝集が起きにくかったこと、攪拌したことで酸素が培養液全体にいきわたり微少な還元環境が生じにくかったことが原因と思われる。併せて、特定の藻類株を用いて培養を行ったところ、無菌条件下ではメタンの生成が抑えられた。今後、メタンが生成する条件と現場環境との関係を詳細に調べる必要がある。これらの実験では、栄養塩類、クロロフィルなどの測定用サンプルと併せて、亜酸化窒素およびハロカーボン類測定用のサンプルを採取した。今後測定・解析を行っていく。
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