本研究課題の目的は、異なる機能性高分子セグメントを持つブロック共重合体を用いて、我々が新規に開発した微粒子作製法(高分子の溶液に貧溶媒を加え、良溶媒を蒸発させる手法)を用いることでウィルス状の表面構造を持ったブロック共重合体微粒子の作製とその構造制御手法を確立することにある。 今年度は様々なブロック共重合体を用いて、それらの微粒子を作製し、種々のポリマーセグメントが構造に与える影響について検討を行った。その結果、ポリ(スチレン-b-トイソプレン)は微粒子内部までミクロ相分離構造が形成された粒子を与えたが、ポリ(スチレン-b-4ビニルピリジン)やポリ(スチレン-b-アクリル酸)等の両親媒性ブロック共重合体の場合は中空状の微粒子が得られることを見いだした。本成果を基に4報の論文を報告した。 また、微粒子の構造制御の観点から、気-液界面で粒子を析出させると半球状の微粒子が得られること、機能化の観点から、発光性の色素を内包した微粒子の作製に成功したことなどをそれぞれ論文として報告した。 ブロック共重合体だけでなくポリマーブレンドを用いることで、微粒子内でマクロに相分離構造を形成させた微粒子の作製法を見いだした。さらに、一方のポリマーを架橋・もう一方を溶出することで新規の異方性微粒子を得る方法を見いだした。これらは電気泳動ディスプレイの色剤等への応用が期待されるため、それぞれ特許として出願を行った。
|