火災時の避難誘導ツールの視認性減衰予測モデルを構築するため、京都大学田中哮義教授と共同研究を行い、火災の代表的火源(木材、ポリウレタン、灯油)を用いて火源毎の煙の付着係数を算出する実験を行い、煙の付着を考慮した火災煙中の視対象輝度予測基礎式を構築した(結果は学術雑誌Fire Safety Scienceへ掲載)。また煙の付着を考慮した火災時室内の床面照度算出式を構築し、通常設計で用いられる天井設置型非常用照明の火災煙下での性能限界について検討した。さらに火災時の建築内煙流動のGUI化について取り組み、既存の煙流動予測プログラムの実用化について検討した。 関西大学野口太郎教授及び原直也講師との共同研究において、デジタルカメラを用いた視野輝度分布測光システムを開発した。この測光システムではXYZ色度分布も把握できるため、来年度実施予定の色光の分光透過率減衰実験時においても利用可能である。さらに両名との共同研究で、視野輝度とRGB画像ピクセル信号値の対比処理に基づく正規化による、デジタルカメラ撮影画像の火災時予測画像への加工方法について検討した。 さらに避難誘導ツールの実態把握について、前出田中哮義教授・摂南大学岩田三千子教授・広島国際大学奥田紫乃講師と共同研究を行い、魚眼レンズを用いたデジタルカメラ画像による避難誘導ツールの視野情報量把握等の調査手法を開発した。この調査手法を用いて関西国際空港を例に想定避難経路での視野内避難誘導ツールの実態調査を行い、視野内避難誘導ツールの視野情報量と避難経路の探索し易さの関係について検討した。また国際学会報告時に訪問した北京(中国)、ケアンズ・シドニー(豪州)の3都市国際空港において、使用されている避難誘導ツールを調査し、海外遠方で実態調査を行う際の本手法の問題点及び改善項目について検討した。
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