研究課題
葉緑体機能を理解するために、2090の遺伝子の破壊株の収集を行った。理化学研究所で作成したトランスポゾン(Ds)タグラインからは706ライン、アメリカのSALKのT-DNAタグラインから2043ラインの合計2749ラインの葉緑体タンパク質遺伝子破壊株を収集した。重複した破壊株を含むため、破壊された遺伝子の総数は1277で、対象遺伝子の約61%をカバーする。さらに、現在、SALK以外の様々なタクラインから破壊株を収集し、対象遺伝子の約80%をカバーするタグラインの収集を行っている(2006年3月)。我々は、収集したタグラインから緑色色素欠乏(apg変異体)や形態異常などの「可視的な変異」を指標にしたスクリーニングを行い、葉緑体分化に関与する遺伝子を多数同定した。しかし、葉緑体機能の理解には「可視的な変異」だけでは不十分であり、葉緑体の光合成や物質生産の機能を理解するために、単一挿入変異のホモ破壊株より、老化や光応答に関わる変異体のスクリーニングを行っている。また、収集した葉緑体タンパク質遺伝子破壊株の代謝産物の変化を網羅的に解析し、代謝機能と遺伝子機能を関連づけるためのメタボロミクス実験基盤の構築を行った。実験に用いた変異体は、機能解析を進めているプラストキノンを作らないapg1変異体(pale green mutant)、葉緑体のチラコイドへのタンパク質輸送装置が壊れたapg2変異体(albino mutant)、葉緑体の翻訳システムが壊れたapg3変異体(albino mutant)である。各変異体を培地上で3週間生育させ、その植物体全体のメタノール可溶性粗抽出画分をエレクトロスプレーイオン化法(ESIによりイオン化し、FT-ICRMS(フーリエ変換イオンサイクロトロン型質量分析)により質量データを得、PCAを行うことによりメタボロームプロファイルを得た。
すべて 2005
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Plant Cell Physiol
ページ: 1149-1153