本年度は、前年度に引き続き、京都都市内部にある中世日蓮宗系寺院の題目を刻む小型石造物について、計測、拓本作成、写真撮影等の調査を実施し、データを構築した。具体的な現地調査は8月以降であるが、これは天候(6月の降雨)、7月の宗教行事などを考慮したものである。その期間には、計画の範囲内で文献、史料・関連図書の調査・蒐集を行っている。 1.第1回目の現地調査は8月21日から24日に妙覚寺、本法寺においておこなった。前者では過去の調査での遺漏石造物を重点的に調査し100点弱の石造物追加調査した。また、後者では無縁墓石200点弱を調査した。 2.第2回目の現地調査を9月28日から10月1日に本法寺でおこなった。墓域内散在無縁墓石を80点ほど調査した。また、京都市内において関連史料の収集を行った。 3.第3回目の現地調査を10月26日から10月29日に本法寺でおこなった。本法寺に所在する本阿弥家の墓地、ならびに歴代住持の墓地について50点ほどの資料を従前の通り調査した。 4.第4回目の現地調査を11月16日から11月18日に本法寺等でおこなった。この調査で本法寺の中世関連墓石についてはほぼ調査が終了した。また、醍醐寺において史料閲覧、和歌山県立博物館へも関連調査のために出向いた。 5.第5回目の現地調査を平成19年1月16日から1月19日に行った。これは、間接経費による公用車徴用により、本館科学研究費研究グループを結成し、合同調査をおこなったものである。このうち、岩手県-関市では骨寺領荘域の基層信仰を記録すべく現地調査し、宮城県仙台市では東北大学図書館にて史料調査をおこなった。 6.第6回目の現地調査を3月4日から3月7日に妙顕寺でおこなった。妙顕寺では、200点弱の中世無縁石造物を調査した。6日は降雨のため作業を中止し、次期調査候補地である宝塔寺、鶏冠井妙泉寺を巡検し、調査予定石塔の概数などを把握した。
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