本研究の目的は、既存の国際関係理論に基づいて関与をより明確に概念定義し、日本、米国、韓国の関与政策の理論的特徴、基本的前提、政策内容、それらの問題点や課題について明らかにしつつ、各国の対北朝鮮政策を関与という一定の枠組みに基づいて理論的な類型化を試みることである。平成19年度は同研究課題の最終年度に当たり、関与に関する理論的枠組みの構築を進めるとともに、その枠組みにもとづいて各国の対北朝鮮政策を分析した。こうした研究の一部は「関与(engagement)からみる米韓日の対北朝鮮政策」現代韓国朝鮮学会(2007年11月7・8日)において口頭発表の形で公表された。学会発表の際に用意したフルペーパーと学会でのコメントを受けて論文を作成し、『北朝鮮が核を放棄する日』(晃洋書房、近刊)に掲載される予定である。 これらの研究の一部として、本年度はノムヒョン政権期の羅鐘一駐日大使、徐錫柱大統領府安保主席、徐東晩国家情報院局長、ドン・オーバードーファー(ジョンズホプキンズ大学)など、韓国の安保統一外交政策立案の主要閣僚やアメリカの朝鮮半島専門家などにインタビューを行った。同様に、2007年12月には、北朝鮮問題をめぐる専門家会議を行い、日本、米国、韓国、中国の朝鮮半島問題の専門家を招聘し、情報および意見交換をした。
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