初年度である今年度は、基本文献の収集・渉猟とあわせて、問題の性質を探ることを主な目的とする調査出張を行った。アフリカの平和活動の安全保障・治安部門の実情を探るため、2005年10月にシエラレオネに調査出張をし、国連の平和活動機関である国連シエラレオネ・ミッション(United Nations Mission in Sierra Leone : UNAMSIL)副代表をはじめとする各職員にインタビューをいった。またシエラレオネ戦争犯罪特別法廷(The Special Court for Sierra Leone)の職員にもインタビューを行い、司法機関を含めた治安情勢の展開について調査した。これによって組織的な「平和維持」活動から「平和定着」の段階に入るという国連の理解にしたがって、平和構築における安全保障・治安部門の活動も移行していくことが分かった。さらに日本の国際協力機構の現地職員などにもインタビューを行い、現地治安情勢についての理解を深めた。また2005年12月にはニューヨークに調査出張し、日本政府代表部職員などを通じて、国連本部における国連平和構築委員会設立をめぐる動きなどを把握し、今後の平和構築活動の展開についての理解を深めた。これによって国連本部においても平和構築における安全保障・治安部門の移行の問題について、戦略的な機能整理・発展の方向性を探っていることが分かった。なお初年度の研究の成果は、2006年3月のInternational Studies Association(ISA)の年次大会において、報告をし、関連分野の専門家との意見交換に努めた。
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