1. 昨年度の反省を生かし、開発した教材実験をより中学校の授業に導入しやすい形に改良した。 (1) 前年度の反省として、「手順の簡素化」(とりわけ試薬の秤量の簡素化)があった。 (2) 「定性的な理解」のための教材であるため、試験管やビーカーの目盛りなど、おおよその量ではかりとることができるように実験方法を改良した。 2. 平成19年5月〜12月にかけて、琉球大学教育学部附属中学校第2学年を対象として、開発・改良した教材実験を用いた授業実践を行った。 (1) 実践後の「分解生成物」の確認テストでは、対照クラス(昨年度の未導入クラス)と比較して、今年度の実践クラスの方が高い成績を修め、優位差があった。 (2) 実践後のコンセプトマップのラベル分析では、昨年度実践クラスより今年度の実践クラスの方がラベル数も多く、脂肪の消化の前後による物質の変化、消化の意味の理解で今年度の実践の方が良い結果を得た。また、「消化が胃でのみ行われる」という誤理解は今年度の実践の方が優位に低い結果となり、消化の学習に正の効果を及ぼしたと言える。 (3) 消化液・消化酵素による化学的な消化についての理解は昨年度と比較して今年度の実践で優位に正の結果を得た。 (4) 実験方法の改善については、数値的には改善が認められたが、Mann-WhitneyのU検定の結果、昨年度と比べて優位差は生じなかった。
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