本年度は、本計画の主要設備である1.5mかなた望遠鏡の移設調整作業の合わせて、広視野撮像器の開発を進め、観測開始の準備を行った。 (1)撮像器の検出器デュワーの真空冷却試験を行い、2k×4kフォーマットのCCDを2個並べられるように冷却プレートとハーメチックコネクタを設けたほか、観測運用後に長期にわたり安定した駆動が保証されるように、専用のガス吸着ケースを設計・装着した。 (2)人工衛星によるアラートに即応した観測開始を想定し、検出器装着用の遠隔制御可能なステージを導入し、自動フォーカス合わせが可能な機構とした。 (3)撮像器筐体および駆動・制御系の設計、製作、たわみシミュレーション等を行ったほか、メイン光学系の組み上げ・調整を行い、所期の光学性能を達成しうる仕様となっていることを確認しつつ、装置全体の組み上げを行った。 (4)既存の観測装置・望遠鏡を用いて、白色矮星上での爆発現象である古典新星、および相対論的なジェットの存在が示唆されているブラックホール連星等の偏光観測を行い、星周物質の運動や分布について新たな知見を得た。 (5)国立天文台等の共催を得て、多波長・多モード連携観測をテーマとした国内会議を開催し、60名程度の参加者を得て、当望遠鏡・観測装置の役割について再確認した。 このような結果を踏まえ、最終年度となる来年度は、偏光器の完成、望遠鏡への装着と安定化を図り、所期の目標であるガンマ線バースト初期残光の偏光観測、およびブラックホール連星等の偏光モニターを通じた、高エネルギー天体現象の物理解明を目指す。
|