研究概要 |
1初代星形成の超高解像度シミュレーションを行った。 昨年度より開発を進めてきた放射輸送計算部が完成し、3次元設定で標準的コールドダークマターモデルに対して計算を行うことができた。我々の計算は水素・ヘリウムガスの熱化学進化を密度にしておよそ20桁以上も第一原理的に計算することができる。これにより先行研究よりもおよそ6桁も高い物理解像度を実現した。このシミュレーション結果から、長年の2つの問題、始原分子雲ガスの熱化学不安定性と原始星まわりの質量降着率についてきわめて明確な解答を示した。 結果をアストロフィジカルジャーナル誌に発表した。 2コールドダークマターモデルに対し、もっとも最初の天体の形成時期を明らかにした。 大領域の宇宙論的シミュレーションから、宇宙初期での密度場の中でも特にピーク値が大きい領域を選定し、上記1と同様のシミュレーションを行って,いわゆる"The First Star"の形成について詳細に調べた。形成時期は宇宙年齢5000万年頃と非常に早期で、さらに、ダークハローの形成に伴う力学的効果が重要であるとの結論を得た。結果を英国天文学会誌に発表した。 3初期HII領域の形成とその残骸中にできる第二世代星の形成シミュレーションを行った。 全く新しく開発した3次元輻射輸送流体力学のコードを用いて、初代星まわりに形成される初期HII/HeIII領域の構造について詳しくしらべた。残骸領域の進化も計算し、第二世代星の形成シナリオの一つの場合を明らかにした。ALMAや21cm電波観測計画について観測可能性を議論した。結果をアストロフィジカルジャーナル誌に発表した。
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