研究課題
本年度は、昨年度から引き続き行っているレーザー局所加熱ガス抽出装置の真空系に関わる機器の設計と導入を行った。年度後半に接続および試験的な実験を開始しバックグランドの寄与等の検討を行っている。また、5月にはオーストラリア北東部にてマントル起源岩石のサンプリングを行い、非常に新鮮で風化の影響を受けていない橄欖岩試料を得た。同時にシドニー博物館のサザーランド教授(岩石学)を訪問し議論をおこなった。その結果ビクトリア州とタスマニア島のマントル岩の分析を行うことが本研究課題の遂行に必要との結論に達し、博物館所蔵の試料の提供を受けた。それら試料について昨年度達成した質量分析計の高感度化のメリットを生かして以前では分析困難であった領域のガス含有量でも高精度の希ガス分析に成功した。この結果は最終年度に向けて論文等で発表する予定である。また、クリプトンを高圧化で濃集させた試料についてのXAFS分析と質量分析を行い、その結果を学会で発表すると共に論文として発表した。沈み込み帯での物質分化を想定した高圧実験によって作成した試料についても精密な段階加熱法による分析を行った。その結果、含水鉱物に含まれる希ガスの一部は高圧下での変成後も新たに生成した鉱物相に保持され、さらに深部のマントルへ持ち込まれる可能性を示す結果を得ている。現在は条件を変えた高圧実験を執り行っている。また、Nature誌において昨年度我々が発表した論文に関連するトピックを含むレビュー論文を発表するなど、アウトリーチ面でも特筆すべき成果を得た。
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すべて 雑誌論文 (3件)
X-RAY ABSORPTION FINE STRUCTURE - XAFS13, American Institute of Physics. 882
ページ: 296-298
NATURE 441
ページ: 169-170
Geochimica Et Cosmochimica Acta 70
ページ: A400