研究概要 |
多様なポストゲノム研究に対応すべく、モノリスカラムのバリエーションの充実を図るとともに、モノリスカラムの特性を最大限に引き出せるシステム・装置の試作を試みた。以下に本年度の具体的な研究成果をまとめる。 1)プロテオーム解析用ミクロ・セミミクロモノリスカラムの開発 プロテオーム解析への応用を視野に入れて、疎水性度の異なる逆相モノリスカラム、交換容量の異なる陽イオン交換および陰イオン交換モノリスカラムを作製した。また、カラムサイズのバリエーションも今後重要になると考え、カラム内径のスケールアップに取り組み、内径150μmのキャピラリーサイズのカラムから、潜在的ニーズの高い内径1mmのセミミクロサイズのものまで、実用的に十分な性能を有する有機ポリマー製のモノリスカラムを作製することに成功した。本モノリスカラムは流体透過性が高く、また、機械的耐久性に優れているため、通常の10倍速での送液も可能であり、10種類のタンパク質を3分足らずで良好に分離することができた。 2)メタロミクス研究用無機・有機成分同時複合計測システムの開発 タンパク質のおよそ40%は金属が結合した金属タンパク質であるが、そのなかには金属を身体の各部位に輸送するタンパク質もあれば、貯蔵するタンパク質、また金属が結合することによってはじめて生理機能が発揮される金属酵素もある。本研究では、そのような金属タンパク質、金属酵素の探索を目的として、モノリスカラムによりタンパク質やペプチドを分離後、無機質量分析装置(ICP-MS:誘導結合プラズマ質量分析計)と有機質量分析装置(ESI-MS:エレクトロスプレーイオン化質量分析計,MALDI-TOFMS:マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析計)によりオンラインで並列に解析する複合分析システムを構築した。さらに、本分析システムを用いてヒト血清タンパク質の分析を行い、血清中微量元素の存在状態に関するデータを収集した。
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