本研究は"光応答性部位を持つアキラルなアモルファス高分子材料の薄膜において分子のらせん状3次元配列が光誘起される新現象について探求すること"、ならびに、"その光学的応用を検討すること"を目的としている。 本年度は、エリプソメトリーの解析を厳密に行い、薄膜の光学機能を定量的に行った上で、昨年構築した数値モデルに基づく厳密なモデルにそのパラメータを反映させ、光学異方性分子の配向と構造化に由来する伝播光の状態変化について正確な予測を行うことができるようになった。その結果、極めて大きな光誘起光学回転値(42°/μm以上)を利用した光アドレス型偏光制御薄膜を実現した。一例として、半波長板としての機能の確認や、楕円率制御板としての昨日を確認できた。備品費は詳細な波長分散評価などを実験的に進めるために、現有のアルゴンレーザーでカバーできない波長領域の励起光源の購入に充てた。 一方では、新しいコンセプトに基づく光応答性部位(アゾ化合物)を持つ化合物を合成し、さらに大きな光誘起複屈折性(0.35以上)と配向安定性を示す材料を見いだすことに成功した。この結果は、さらに優れた材料の開発に向けて非常に有意義な作業仮説をもたらしたと考えている。 これらの結果は、5報の国際誌、2報のプロシーディングス、1報の解説記事、1編の報告書(図書)、3件の特許出願(国内)、9件の国際会議発表(うち4件は依頼・招待講演)、18件の国内会議発表(うち7件は依頼・招待講演)として積極的に発信した。(637字)
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